インフルエンサーを使ったPRを始めたいものの、「どこに頼めばいいのか」「いくらかかるのか」「何から始めればいいのか」で迷う担当者は少なくありません。
この記事では、インフルエンサーキャスティングの依頼先タイプとサービスの違い、費用相場、依頼の流れ、そして発注側が必ず押さえたい法的な注意点までを整理します。
インフルエンサーキャスティングとは

インフルエンサーキャスティングとは、自社の商品やサービスに合うインフルエンサーを選び、SNS上でPRしてもらうために起用する手配のことです。
インフルエンサーマーケティングは、SNSで影響力のある人に商品やサービスを紹介してもらい、認知拡大や購買につなげる手法で、共感を得やすく訴求力が高い点が注目されています。
一方で、SNSのノウハウが乏しい企業にとっては、誰に頼むか、どんな形で紹介してもらうかを決めるハードルが高い施策でもあります。そこで、専門のキャスティング会社やサービスを活用する企業が増えています。
インフルエンサーへの依頼先は大きく4タイプ

インフルエンサーへの依頼方法は、次の4つに整理できます。
- 直接インフルエンサーに依頼する
- インフルエンサーマッチングプラットフォームを使う
- インフルエンサーマーケティング会社(キャスティング会社)に依頼する
- 広告代理店やキャンペーン会社に依頼する
| 依頼先 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 直接依頼 | 中間マージンが発生せず費用を抑えやすい。やり取りが円滑 | 選定・交渉・企画の打ち合わせをすべて自社で行うため工数がかかる | 小規模施策、すでに候補がいる場合 |
| マッチングプラットフォーム | 代理店より費用を抑えやすく、SNSで自力で探すより手間が省ける | 選定・投稿管理・効果測定は自社対応。ジャンルによっては候補が膨大 | 社内に運用できる担当者がいる場合 |
| キャスティング会社・事務所 | 選定から実施、分析までプロが担当。所属インフルエンサーをリストアップしてもらえる | マージン制のため割高になりやすい。キャスティングのみで企画や成果責任は含まれない場合もある | 確実に進めたい、人手が足りない場合 |
| 広告代理店 | 企画から運用まで一括で任せられる | 費用は高くなりやすい | 大規模キャンペーン |
「人の手配」か「施策の成果」か
見積もりを比べる前に決めたいのは、自社が必要としているのが「人の手配」なのか「施策の成果」なのかです。
キャスティング会社が提供するのは人を押さえることであり、企画や成果の責任までは含まれないケースがあります。
ここを分けずに見積もりを並べても、正しい比較にはなりません。
キャスティングサービス厳選4社の特徴

インフルエンサーマーケティング関連のサービスは数十社に及びます。
ここでは比較記事などで頻繁に名前が挙がる代表例を、タイプ別に紹介します。
料金体系は案件内容によって変わるため、最新の条件は各社の公式サイトや見積もりで確認してください。
| サービス | タイプ | 特徴 |
|---|---|---|
| UUUM | クリエイターマネジメント企業 | 知名度の高いYouTuberやインフルエンサーが多数在籍。エンタメ性の高い施策に強い |
| BitStar | キャスティング・マーケティング会社 | 比較サイトでキャスティングサービスの代表例として紹介されることが多い |
| トリドリ(toridori base) | マッチングプラットフォーム | インフルエンサーと企業をつなぐサービス。中小企業向けのプロダクトを展開 |
| AnyTag | マッチングプラットフォーム | 企業とインフルエンサーを直接つなぐタイプのサービスとして比較記事に掲載 |
選ぶ際は「知名度の高い人を起用したいのか」「小規模なインフルエンサーを数多く動かしたいのか」「運用まで任せたいのか」で、向くタイプが変わります。
複数社に同じ条件で見積もりを依頼し、内訳まで比較するのが基本です。
インフルエンサーキャスティングの費用相場

フォロワー単価で計算するのが基本
費用は「フォロワー数 × フォロワー単価」で決まるケースが多く、フォロワー単価の相場は2〜4円程度とされることが多いです。
幅を広く見る解説では2〜6円とされています。たとえば、フォロワー10万人で単価3円なら、1投稿あたり約30万円が目安です。
プラットフォームによっても相場は異なります。
| プラットフォーム | フォロワー単価の目安 |
|---|---|
| Instagram(一般的な目安) | 2〜4円 |
| YouTube | 4〜8円(動画制作コストが高いため) |
| TikTok | 1〜3円(制作コストが比較的低いため) |
エンゲージメント率が高いインフルエンサーは単価が上がる傾向にあります。逆に、フォロワーが多くてもエンゲージメント率が低い場合は、単価を交渉できる余地があります。
規模別の目安
フォロワー1万〜10万人のマイクロインフルエンサーは、1投稿あたり3万〜30万円が相場で、多くの中小企業にとってバランスの良い選択肢とされています。
専門性が高くフォロワーの属性が明確なため、ターゲティング精度が高く、費用対効果に優れるといわれます。
調査では、マイクロインフルエンサーの平均エンゲージメント率は3.86%で、メガインフルエンサーの1.21%を大きく上回ったという結果もあります。
報酬以外にかかる費用
見積もりでは、インフルエンサーへの報酬以外の項目も確認しましょう。
- 企画提案、クリエイティブ制作、効果測定を依頼する場合の追加費用
- 代行業者のディレクション料(プランに含まれる場合と別料金の場合がある)
- ストーリー動画や画像加工などのクリエイティブ費用
- プラットフォームを利用する場合の利用料
- 事務所経由の場合のマージン
なお、1人起用なら数万円から、複数人を組み合わせるキャンペーンなら数十万円から数百万円と、規模や依頼先の業態によって総額は大きく変わります。
キャスティングサービスの依頼から投稿までの流れ

依頼先によって細部は異なりますが、基本的な流れは次のとおりです。
- 目的とKPIを決める:認知拡大か、購買か、来店かを明確にします。
- 予算を決める:フォロワー単価の目安から、起用人数と投稿本数を逆算します。
- 依頼先を選ぶ:直接依頼、プラットフォーム、キャスティング会社などから選びます。
- 候補を選定する:ジャンルとの相性、フォロワー属性、エンゲージメント率を確認します。
- 条件を詰める:投稿の形式・本数・期日、報酬、PR表記の方法を決めます。
- 契約し、投稿内容を事前確認する:後述のステマ規制に対応するため、事前承認の体制を整えます。
- 投稿後に効果を測定する:結果を次回の施策に生かします。
直接依頼する場合の初回連絡
SNSのDMやプロフィールのビジネス用メールアドレスに連絡するのが基本です。
初回メッセージには、①自社の簡単な紹介、②依頼の目的、③投稿の概要(形式・本数・期日のイメージ)、④報酬について相談したい旨、を含めましょう。
最初から細かい条件を詰めすぎると敬遠されやすいため、関心を示してもらってから詳細に進むのが自然です。
企業が依頼前に押さえたい広告表示の注意点

ステルスマーケティング規制
2023年10月1日から、景品表示法でステルスマーケティング(ステマ)が規制されています。事業者の表示であることが消費者に判別しにくい表示は、不当表示として規制対象です。
押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 規制の対象は事業者(広告主)で、依頼を受けて投稿したインフルエンサー個人は原則として直接の処分対象ではありません。
- 代理店やインフルエンサーがステマを行った場合でも、最終的な責任は発注企業にあり、発注企業には指導・監督が求められます。
- 「PR」「広告」と書いてあっても、小さく表示する、背景と同系色にする、大量のハッシュタグに埋もれさせるといった方法は規制の対象になり得ます。
- 違反が認められると措置命令が出され、従わなければ2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は3億円以下)の対象となります。
対策として、PR表記のルールを文書で取り決める、投稿の事前承認制を導入する、投稿後のモニタリングを行うことが推奨されています。
炎上リスク
事前に内容を確認していても、特定の層への配慮が足りない表現や、意図しない差別的表現によって炎上することがあります。ガイドラインの共有と事前チェックを徹底しましょう。
失敗しないサービスの選び方と運用のポイント

- 自社が求めるのが「人の手配」か「施策の成果」かを先に決める
- フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率とフォロワー属性を見る
- 複数社から同条件で見積もりを取り、報酬・マージン・制作費の内訳を比較する
- 社内に運用できる担当者がいるかで、プラットフォームか代行会社かを判断する
- 契約前にPR表記と事前承認のルールを確認する
記事まとめ

インフルエンサーキャスティングは、依頼先のタイプによって費用も手間も大きく変わります。費用の目安はフォロワー数にフォロワー単価(2〜4円が中心)を掛けた額で、マイクロインフルエンサーなら1投稿3万〜30万円程度です。
まずは目的と予算を決め、複数の依頼先から同じ条件で見積もりを取って比べましょう。
あわせて、ステマ規制への対応は発注企業の責任であることを忘れずに進めることが、安心して施策を続けるための前提になります。










